「良い感じ……」 手ごたえを掴んだのか、ゴリはフリーが終ってからも、感覚を忘れないように2、3回素振りをする。 「おれにもアドバイスよろしく頼むぜ」 5番の柳沢が意気揚々とバッターボックスに入る。 「柳沢さんには荒治療が必要ですね」 三浦はズボンのポケットから凧糸と軍手を出し、柳沢のバットのグリップエンドにきつく結んだ。 「なにするんだ?」 「任せてください」 三浦は凧糸をゲージのネットの網目に通して柳沢の真後ろに立つ。