バトンクッキー



「ボクが見ているかぎり、足を高く上げるほどタイミングがずれる確率が高いです。地面に左足の爪先が触れる程度に上げる高さを我慢して打ってみてください」

 細かい指示をされ、ゴリは唖然としていた。


 原西が投げた球をピクピクッと2段モーションのようなぎこちない足の動きをしながらも、ゴリがスイングした打球は左中間を割った。


「飛距離は少し物足りなくなるかもしれませんが、いまのバッティングフォームの方がタイミングを計りやすいと思います」


 ゴリは原西が投げる変化球にもうまくバットを合わせ、良い当たりを連発させる。


「おぉ~すげぇ~」と、チームメイトから驚嘆の声がもれた。ゴリに対してなのか三浦に対してなのかはよくわからない。