「キャップテン!今日入ってきたばかりの新人に好き勝手言わせていいんですか?」 柿谷がショートを守っているおれに向かって不快感を募らせる。 直接三浦に言い返せなかったのは、納得できる部分もあったからだろう。 「とりあえず、言われたとおり積極的に打ってみろ」 おれは裏切り者と言われ兼ねない冷めた態度で柿谷を黙らせた。 「ストライク先行型のピッチャーの場合、すぐに追い込まれてしまいます」 「ごちゃごちゃとうるせぇな」と言いながら柿谷はバットを振っていく。