「ところで名前は?」 「三浦一樹といいます」 ちょうど休み時間終了のチャイムが鳴り、三浦にノートを返す。 水原は何度も振り返りながら頭を下げていた。 二人の関係に興味を抱きつつ、3分の2の不安と3分の1のワクワク感で午後の授業は身が入らなかった。 放課後、グラウンドで自己紹介が行われた。 「今日から野球部のお世話になります三浦といいます」 パチパチと疎らな拍手がチームメイトから送られた。三浦は制服を着たままで、練習に参加しようという前向きな姿勢が見られないからだ。