「今日の練習中にいろいろ生意気なことを言うかもしれませんが、キャプテンが壁となって庇ってくれるとうれしいです」 「あのなぁ~」 野球部に入ってやるというエサを武器に、すでにおまえは生意気なんだぞ!と喉元まで出かかった言葉をおれは飲み込むことができた。 それは水原が顔のところに手を合わせておれを拝むように見ていたからだ。 「努力はしてみる」 おれは水原の顔に免じて、怒りを収めた。 「さすがキャプテン!心が広いですね」 最終的にはおだてるのかよ、と思いながら力の無い作り笑いが自然と出る。