エピローグ~最後にマリが見たものは?

 隼人くんとの接吻をしたまま消えた……と思ってたんだけど。
 また真っ白な場所に戻ってきてしまったようだ。

 さっきと違うのは……私にちゃんと体がある。
 体はあるけど……隼人くんはいない。
 さっきとは違う場所のようだ。

――どこだろ?ここは?

 ぼんやりと考えているといきなり声をかけられた。

(ありがとう、お嬢さん)

 声の方向に振り返ると、そこに立っていたのは品の良さそうな中年の男性だった。
 少し長いめの髪をオールバックにして、灰色のスーツでビシっときめている。
 特徴的なのは――両目の瞳の部分が銀色なことだ。

(えーと、あなたは……?)

 初対面でいきなりお礼を言ってくる中年男性に尋ねる。
 上品な中年男性は笑顔で私に向かって自己紹介をする。

(孫のために本当にありがとう)

 ほえ?孫のためっていうことは……?
 ひょっとして……ひょっとして?

(隼人の祖父です。一哉の父と言った方が分かりやすいかな?)

 やっぱりーーーーー!
 なんか面影があると思ったんだよね!