あんまりラブホに長居するとその分お金を取られると隼人くんに教えられた。
 私の出す分のお金は隼人くんのお金だしあまり多く使うのも悪い。

――再び場所を移動することにした。

 人がいない場所で鏡があるっていうことで私と真里は二人ともラブホテルしか思い浮かばなかったのだが、
 人気のない公園なりカラオケボックスに鏡を持ち込むなりすれば良いなじゃないか、やりかたはいくらでもあるだろう、と私と真里は隼人くんに小バカにされる羽目になった。

 確かに……悔しいが私も真里も反論の言葉が思いつかない。
 隼人くんの許可を得てラブホ代は全額出してもらった。
 だから、なおのこと頭が上がらない。

 屋外だと隼人くんと会話すると目立つだろうということで、
 ホテル街の近くにあったカラオケボックスに移動する。

「なーんにも解決にならなかったねぇ」

 真里が呟く。

「うん……どうなっちゃうんだろ?」

 私の不安は大きくなるばかり、ため息交じりに真里に問いかけてみる。

「さあ、なるようにしかならないんじゃない?」

 う……冷たい反応。
 確かに真里にとっては何の変化も無いんだから
 私のことは他人事なんだろうけど……。

――なんだかすごく悔しい。

 たまたま私が隼人くんの中に入ったわけで、
 今、真里の中にいる人格が隼人くんの中に入ったら
 同じようなセリフは吐かせ無いのに……。
 絶対にこうなるに決まってるんだから!

……と、仮定の話をいくらしても何かが変わるわけじゃない。

 とはいえ、真里も私が巻き込んだせいで今日はしっかり学校をサボるハメになってるわけで
 皆勤賞が取り得のヲタ少女の唯一の自慢を無くさせたわけで。
 その辺は悪いことをしたなとは思っている――。

 でもさ、いくら分かれた人格とはいえ自分のことなんだからさ、
 もっと親身になって考えて欲しいわけよ……。

 自分勝手なことを言ってるのは分かってるんだけど

「もうちょっと考えてもらえると……嬉しいんだけどね?」

――気をつけよう、ささいな一言が、時には地雷になる。