「ただいまー!!」

 悩んで考えて……どれくらいの時間が経ったのだろう?
 元気なカズちゃんの帰宅の挨拶が聞こえてくる――とはいえ声は自分の声なのだけど。
 壁にかかった時計を見ると、時刻はすでに正午を回っていた。

 これだけの時間を費やして出た私の中の答え、それは――カズちゃんの意思に任せよう。
 これだった。

 他力本願とか思わないでね?
 これでも一生懸命考えたんだから。

 一応、私の中では答えは決まった。
 カズちゃんがオッケーならばする、ダメならば……何か方法を考えなければいけないけど。

 そうと決まればカズちゃんへの意思確認だ。

――とはいえ、いきなり小学生に『セックスしよ!』とは言えないよね。

 そうこう考えるうちにカズちゃんが私の居る囲炉裏の部屋に入ってきた。
 私の体だというのに、見事なまでに埃まみれ。
 よほど元気良く山の中を駆け回ってきたのだろう。

「おかえりー」

 部屋に入ってきたカズちゃんを迎える。
 カズちゃんは部屋に入ってくるなり私に顔を近付けじっとこちらを見つめてきた。
 なんだか……自分の顔が近付いてくるのも違和感があるなあ。
 そんなことを思いつつカズちゃんにその行動の意味を尋ねる。

「ど、どうしたの?」

 カズちゃんは私の問いかけに小さく首を振りながら「んーん」と答える。
 そして、私が再び話しかける前にさらに言葉を続けた。

「かすみおねーちゃんがもう怒ってないみたいだからうれしかったんだ♪」

――くそ、外見が自分なのに一瞬本気で惚れそうになってしまったじゃないか!