「じゃあ、また電話する」

電話を切る瞬間が一番つらい。

本当に掛けてくれるのか心配になる。

「私も掛けていい?」

「俺、出られない事が多いから。
俺から掛けるから待ってて」

そう言われたら、言い返せない。

「分かった…」

そう言うので精一杯。

泣きそうになるのをグッと堪えて。

響吾に泣き声を聞かせたくない。
聞かれたくもない。
無理に強がって言ってみる。

「じゃ、おやすみなさい」

「ん。おやすみ」