イニシャルはKK

土曜日、私は横浜に来ていた。
亜沙子さんと連絡を取り、パーティ会場のホテルのロビーで響吾を待つ。

「これで最後にしてもらえる?」

決意のこもった亜沙子さんの言葉にドキッとする。

「響吾にはお兄さんがいるの。
病院の後を継ぐべく医者の勉強をして、今年から医師として現場で働いているわ。
だから響吾は医者にならなくてもいいの。
後継ぎも関係ない。
だけど…結婚するにはそれ相応の相手じゃないと務まらないわ。
私がふさわしいだなんて思わないけれど、私なりに響吾の事は理解しているつもりだし、彼の未来を一緒に歩んでいきたいと思っているの。
だから…もう彼とは会わないで」