「お兄ちゃん」それとも「今の響吾」
私が好きなのはどっちなのか。
答えを選べと言われて悩む日々。

選べる訳ないよ。
どっちも響吾なのに。

そんな風に毎日考えている私。

文化祭の日から
一人で帰るのが怖くて。
今日はクルミと一緒に下校。
門を出ると声を掛けられた。

「カノンさんですよね?」

凛とした、でも優しい声。

目の前に立つ女性は
あの時、響吾と楽しそうにしていた人だ。