それから毎日アイリスの花壇に水をあげた。

どんどん大きくなっていくアイリスを見るのは凄く楽しかった。



やがて月日はあっという間に過ぎ去り、アイリスは見事な花を咲かせた。


そして私は気がついた。

というより、自覚しなければおかしなくらいヴァンを好きになっていた――――…。



そもそもヴァンを好きになるのは必然だった。


お城の中でただ一人だけ輝いて見えたヴァン。

そんな彼と毎日話をするようになって、好きならない方がおかしい。


私は自分の立場を理解しながらも、だんだんと大きくなる好きの気持ちを止める事が出来なかった。



……だけど。

ヴァンがわたしを好きになってくれる事はない。


だって私は透明人間。

そんな姿も見えない私を好きなってくれる訳がない。


分かってる。

そんな奇跡が起こる事が無いことは。

だけど願わずにはいられない。



どうか…。

私の姿がヴァンに見えるようになりますように、と。

そしてこんな私を好きになってくれますように、と。