見えないお姫さま




「それで?俺に何か用事?」

ムスッとした顔で、私のここへ来た本来の目的を聞く。

公務の話をしただけで不機嫌になるんだから。

もっと気の長い兄が欲しかったわ。


私は目を細めてお兄様を見た。

「なに」

お兄様はそんな私を怪訝そうな目で見返す。

「いいえ。私、お兄様に聞きたい事があって来たの」

「授業サボってまで?」

サボった理由は違うけれど。

「ええ、そうよ」

面倒臭いから肯定した。

「冗談だろ?俺はお前に授業サボってまで聞かれる様な事は何も知らないぞ?」

肯定した事によって結果的に真面目な話をしに来たんだと思ってくれたらしい。

「いいえ。多分お兄様なら知ってる筈よ」