ラナは右手でほうきを持ったまま左手を顎に当て、眉をしかめて何かを考えている。


「何を悩んでいるの。私が教えてって言ってるのよ?」

「いえ……。やっぱり、私の口からは言えません」


言えない?

私が言ってるのに?

ということは、ラナに口止めしているのはお父様辺りかしら…。


「わかった。お兄様は今どこ?」

お兄様ならお父様が口止めしていたって私がしつこく言えば教えてくれるはず。

「きっと今は乗馬をしていますよ」

乗馬か。

よし!今すぐ行こう!


「アイリ様」

ベッドから抜け出して、ドアに手を掛けたところで後ろから声がかかる。

「何?」

今度は両手でしっかりとほうきを持ち、強い眼差しを私に向ける。

「真実を知っても気をしっかりと持ってくださいね」

「え、えぇ」



なんだか聞くのが急に怖くなってきた……。