それは多分、とびきりの

 桜並木を通り抜ける細い道。いささか残念なのは葉桜だという事。
「ここ、最近見つけたの。春になったらきっと綺麗よね」
 一面の桜の花を想像しているのか、彼女は立ち止まって目をつぶった。
「風が吹いたら見事な桜吹雪を見られそうだね」
 僕が言うと彼女は黒い瞳をキラキラさせてこちらを見上げる。
「春になったら一緒に来ようね」
「そうだね」
 来年のデートの約束をして、二人笑い合う。
 なだらかな坂を下りると古びた遊具で遊ぶ子ども達に会った。彼女が手を振ると小さな両手を振り返してくれる。
「可愛い」
 嬉しそうに微笑む彼女とさらに歩を進める。
「こんな所に公園があったなんて知らなかった」
「私も。実はね、この公園の入口は向こうの通りにあるの。だからさっき入って来たのは秘密の裏口みたいな感じ」
 秘密って響きがいいでしょ? と彼女は少女のように笑った。