それは多分、とびきりの

そして日曜日。午前10時の5分前に約束の場所についた。

「お待たせー!」

二分と経たずに現れる彼女。今まで彼女が約束の時間に遅れた事は一度もない。

「荷物の準備に手間取っちゃって」

初夏の風の様に爽やかに笑う彼女の荷物は、去年プレゼントしたショルダーバッグと彼女が気に入っているショップの紙袋。

「さ、行こ」

「どこに行くの?」

「ひーみーつ」

悪戯っぽく笑い、自然に僕の右腕を取る。透き通った碧色に似た彼女の好きな香水の香りが、ふわりと踊る風にのって僕に届く。

「少し歩くけど。たまには二人でゆっくり散歩もいいでしょ?」

瞬君最近デスクワークで篭りがちだし、と僕の顔を覗き込む。

「そうだね」

彼女の歩幅に合わせてゆっくり歩く。小さな鳥がチチ、と鳴きながら僕らの頭上を翔んで行く。

青い空に映える葉の緑。ふわふわと泳ぐ綿菓子みたいな白い雲。

「……久しぶりだな」

「何が?」

「空を眺めたのが」

眩しいのは太陽の光か、隣で笑う彼女の笑顔か。

目を細めた僕の腕をくいと引き、彼女は細い路地へと足を向けた。