それは多分、とびきりの

「明日、会いたいな。都合、どう?」

金曜の夜、いや正確には土曜の午前1時。

白い携帯がデスクの上で水色に光り、オルゴールが奏でるカノンが彼女からの着信を知らせた。

「明日?」

僕はカレンダーを見る。給料日は明後日。悲しいかな、ポケットに入れたままの黒い財布は飢餓状態。

「うーん……」

僕は返事に困って宙を仰いだ。

デートといっても先立つ物が必要。かと言って『給料日前だし』なんて情けない事白状するのは恥ずかしい。

「都合、悪い?」

「あ、いや仕事は休みだけど」

都合悪いと言えば良いのに、バカ正直に答える僕。臨機応変とは言えない自分の性格を恨んでみたりする。

「休み、なんだけど……さ」

言い淀んでいる僕の言葉の先にある何かに気が付いたのか。彼女はふふ、と笑ってこう言った。

「よかったら、私のデートプランに付き合ってくれない?いつも(しゅん)君にお任せだから、たまには私の我が儘で振り回しちゃいたいの」

絢乃(あやの)の?」

「うん。瞬君は手ぶらでいいから」

うふふと楽しそうに笑う彼女の“プラン”が気になって、僕は明日――日曜日の午前10時に彼女と会う約束をした。