それからしばらく他愛もない話しをしたあと、お兄さんは立ち上がった。

「じゃあ、俺はそろそろ出かけるから」

「あ、すみません!出かけるところだったんですね!!」

「いいのいいの。モカちゃんと話したいって言ったの俺だし」

私も帰ろうと慌てて立ち上がると、お兄さんはニヤッとイタズラな笑みを向けてきた。


「ごめんモカちゃん。実はウソついてた」

「え?ウソ?」

「うん。さっき、和泉のこと知らないって言ったけど……。今、部屋にいるよ」

「ええぇ!?部屋にいるんですか!?」

「ああ。仕事から帰ってきて、部屋にこもりっぱなし。最近引きこもりだから」

うそ…!!和泉君家にいたの!?てっきりまだ帰ってきてないのかと…。

そうとは知らずお兄さんと和泉君のこと話してたなんて…。