ドアフォンが鳴った。

「洋太・・・」

ドアを開けるとそこには洋太ともう一人、気まずそうにして奈緒が立っていた。

「洋太。何のようだ?」

「何のようって?お前がおかしな事をいってるんだろ?」

ぶしつけに洋太は言うと、強引に部屋へ入り込もうとして来た。が、圭一はそれを拒んだ。

「おかしな事って?それに神木さんは関係あるのか?」

洋太が来るのは、圭一も何となく予想していた。しかし菜緒まで巻き込む事は納得がいかない。

「神木さんは、落し物を拾ってくれたんだ。お前に返す必要があるよな?」

「落し物?」

「神木さん持ってるだろ?」

洋太に言われて、菜緒はあわててスケッチブックを出した。

圭一はそれを見た瞬間、何も考えられないくらい頭が真っ白になった。

「お前のだろ?」

圭一は何も言葉を返さずに、ボンヤリと無くなった結衣のキャンバスの事を考えている。