彼女―――――…鳴海章菜さんを初めて見たのは大型ショッピングセンターだった。





ただすれ違っただけなのに惚れてしまった。





フワッと漂ってきた甘い匂い、笑顔が綺麗で、耳にいつまでも残る声。





小さい女の子を見てふんわり笑う顔。





ずば抜けたスタイルと美貌で周りの人を魅了していく。





男性は見惚れ、女性は憧れの眼差しを向ける。





一般人とは思い難い容姿。




目が合う事もなく、呆気なく通り過ぎてしまった。





なんでもいいからキッカケが欲しい。





こっちを向いて欲しい。





話してみたい。





小さい女の子に向ける笑顔を向けて欲しい。





けど、無理なんだよな……。





彼女は既婚者。





小さな女の子は彼女にそっくりで親子なんだとわかる。





報われないのなら今すぐ諦めるべきなんだろうけど、どうしても目で彼女を追ってしまう。