うつ向き気味の私の頭が左にゆっくりと揺れる。




海堂社長に頭を寄せられ、肩に乗せられる。





「ありがとうございます。僕の一目惚れでやっと射止めたんですよ。妻はこの通り美女なので大変だったんです。」





な―――…なに、言ってるの?





一気に頭の中がごちゃごちゃになってしまって言いたい事がまとまらなくなった。





私が呆然としている間に、従業員の方はどこかに行ってしまったらしい。





「…っ……まっ……ままっ!」





紗衣の声が聞こえ、ハッとした。





「どうかしました?」





心配そうに顔を覗き込む海堂社長にイラッとする。





「………いえ。」





今すぐ反論したい。





なんであんな事言ったのか、否定しなかったのか聞きたい。





でも、ここでこの場で言ってしまったら気まずくなってしまう。





紗衣の為にここまで来たのに、気まずい雰囲気にはさせたくない。