入園券売り場の行列に並ぶこと数十分でやっと券が買えた。





「困ります!」


「そんな言われると僕も困るなぁー。」





入園券のお金は海堂社長が払ってしまった。





無理言って一緒に来てもらったんだから、私が払うのが普通なのに……。





お金を返そうとする度に断られる。





「久しぶりに動物園に連れて来てもらったんですから、これくらいはさせて下さい。」





もう、本当に困るんだけどなぁ――――…。





「せっかく来たんですから、楽しみましょう? ね?」




なんて言われたら、何も言えなくなる。





「はい。ありがとうございます。」





諦め、頭を下げるといいえと言われた。





「いぎゃぁぁぁ!」





足に強い振動と泣き声が聞こえ下を見ると、紗衣が私の足にしがみ付いていた。




「どうしたの?」


「うわぁーん………まっ、まっ……ひっ…。」