社長のご指名

「紗衣待って。人にぶつかっちゃうでしょ。」


「あーい。…んぎゅっ!」




言ったそばからぶつかってしまった。





「すいませんっ。」





紗衣のところに駆け寄り、ぶつかってしまった人に頭を下げる。





「うー…いたいぃ〜。」





転んで今にも泣き出しそうな紗衣を抱き上げる。





「すいません、大丈夫ですか!?」





男の人の声が聞こえ、顔を上げると―――――…





「あっ……。」


「あっ……。」





私と同じ反応をした人は海堂社長だった。





「ままぁ…いたいいたいぃ。」


「今のは紗衣が悪いんだよ?ちゃんとごめんなさいして?」


「ごめんちゃい…。」





半ベソをかきながら海堂社長に謝る紗衣。





「僕もごめんなさい。痛かったよね?大丈夫かな?」





紗衣と同じ目線になるように屈み、柔らかく笑う海堂社長。