社長のご指名

中村さんと言う人はなんだか挙動不審で顔が赤くなってきた。





そして、何かを決心したように顔をバッと上げた。





「あ、の!ししし、し、紫、穂さんですよね?」


「はぁ…。」





突然尋ねられた紫穂は気の抜けた返事を返した。





「中村、知り合いなのか?」


「めっ滅相もない!何言ってるんですか、社長!こんな美女と知り合いなわけないじゃないですか!」


「じゃあ、なんで名前知ってんだ?」





そう言われた中村さんは早歩きで紫穂の前まで来た。




「おいっ、中村。」





海堂社長の声なんて聞こえてない様子。





「あのっ、ファンなんです!」





そう言って勢いよく右手を差し出した。





その姿にみんな呆気に取られる。





「えぇーと………ありがとうございます。」





苦笑しながら左手を出し、中村さんと握手をした紫穂。