その時になって紗衣が心配になった。





「紗衣ちゃんにはお父さんがいない。でも、章菜が…お母さんがいる。紗衣ちゃんはお母さんしかいないんだからお母さんだけしか頼れないのよ?章菜が守れないで誰が守るのよ。お父さんがいない分たくさん甘やかしてたくさん愛してあげなさい。私も協力するから…。」





微笑んだ梨珠さんを見て涙腺が崩壊した。





修一ともっと一緒にいたかった。

紗衣を見て欲しかった。


寂しくて、孤独で、なにもかもが不安だった。


紗衣を産む怖さもあった。


もう修一はいなくて、頼れない、相談も出来ない、全てに絶望を感じた。





子供の様に泣き続ける私を、梨珠さんは優しく抱き締めてくれた。




私は、お腹の事も今更ながら考え産婦人科の先生に前から言われた通り出産まで入院する事になった。





臨月を迎えたお腹ははち切れんばかりの大きさになっていた。