結局その日はマネージャーが来てしまって返事が出来なかった。





でも、車の窓から永家さんを見ると車が出発しても手を振っていた。





また一週間後、病院に行くまで永家さんの姿が頭をチラついて離れなかった。





本名を聞いてきた人なんて初めてだった。





私がモデルと言う事を知ってながらも取り入ろうとしない、自分をアピールするわけでもない。





それが私には新鮮だった。





「今日はどうだった?」





一週間後の病院でこの前と同じベンチに座って話す。





「変わってなかった。なんにも……。」


「そう暗くなんなって。ゆっくり自分のペースで行けばいいよ。ちょっとずつ体重も戻して行けばいい。」


「……うん。」


「って、まぁ俺も人の事言えないんだけど。」





思わず吹き出してしまった。





私には病院の先生みたいな事言っといて自分も変わりないなんて。