結局、リハビリを受ける事を拒否して診察室を出た。





「車取ってくるからここにいて。」

「わかった。」






マネージャーは車を取りに行き、私は噴水を囲うように置かれたベンチに座って待つ事にした。





出るのはため息ばかり。





拒食症は命に関わると言われたが、焦りもなければ恐怖もなかった。





「隣いい?」





眩しい陽射しの空を見上げるように顔を上げると男の人が立っていた。





「どうぞ。」





空いてるベンチはあるのになぜわざわざここに座るのかなんて思ったが、言葉にするのが面倒だった。





「日本人で、しかも若い子に会うなんて久しぶりだな。」





独り言の様に話す男性を横目で見れば、ニコニコと笑いこっちを向いていた。





「俺ね、永家修一(ナガヤ シュウイチ)って言うの。」


「……アキ。」





これが修一と私の出会いだった。