一時間も経たないうちに紫穂はまた明日来ると言って帰って行った。





お母さんもお父さんと雪菜に報告しなくちゃと言って帰ってしまった。





「鳴海さん、よかったですね。」


「はいっ。」





海堂社長にずっと頭を撫でられていたからか、紗衣は寝息を立て始めた。





「紗衣ちゃん寝ちゃいましたね。」

「はい。」





今日、お母さんと話した事……。




「鳴海さん、聞きたい事があるんです。」


「私も、話したい事があるんです。」





たぶん、海堂社長の聞きたい事と私の話したい事は一緒だと思う。




「聞いてもらえますか?」


「勿論です。でもその前に一つだけ言わせて下さい。」





真剣な表情の海堂社長は私の右手を両手でギュッと握った。





「やっぱり、鳴海さんが好きなんです。強い人かと思いきや実は弱い所も泣き始めたらなかなか泣き止まない所も全部全部好きなんです。」