「紗衣っ!」





暫くすると紫穂が病室に駆け込んで来た。





「紗衣、わかる?しーちゃんだよ?」

「しーちゃ……。」


「そうっ。しーちゃん!紗衣ー、よかったよぉ。」





ボロボロと泣く紫穂の顔が可笑しくて泣きながら笑ってしまった。




「紗衣、元気になったらいっぱい遊ぼうねっ!」


「っうん…。」


「章菜、よかったねっ、よかったね!」


「うんっ。本当によかった……っ。」


「章菜も早く怪我を治さなきゃね。」





もう泣いてなんかいられない。





私が泣いてしまうと紗衣も泣いてしまう。





「紗衣ちゃんっ!」


「さーくん。」





息を乱して海堂社長がガラリと扉を開けた。





紗衣に近づくと柔らかい笑みを浮かべ、優しく頭を撫でている。





「紗衣ちゃん、頑張ったね。エライエライ。」





頭を撫でてもらっている紗衣はニコーと笑っている。