いよいよ始まる。





グラマラスまではかなり順番があるけど、出てしまったらあっという間に自分の番が来る。





「鳴海さん。」





心を落ち着かせようと、手を握り締めてると耳元で呼ばれた。





振り返れば、スーツ姿の海堂社長。





なんだか久しぶりに会った気がする………。





「鳴海さん?」


「は、はい。」





慌てて返事をした私にクスリと笑い、顔を近づけて来た。





待って……顔がどんどん近くなってくる。





「頑張って下さい。コレクションが終わったら、章菜さんをオトすまでアプローチしますから。逃げても追いかけるから……早く、俺にオチて。」





耳元で話し終えた海堂社長は踵を返し、行ってしまった。





なんなの………章菜って…。





それに、初めて“俺”って言わなかった?





それに口調だって………本番前になんなのよ。