「鳴海さん、僕は確かに一目惚れと言いました。まだ全ての鳴海さんを知ってるわけではありません。だから、鳴海さんを知る期間をくれませんか?」


「ごめんなさい。そう言ってもらえるのは嬉しいんですが、私は私を知って欲しくないんです。」





態々、過去の事を知られたくない。





「わかりました。」





眉を下げ、そう言った海堂社長に安心した。





「ですが僕は諦めません。必ず鳴海さんを振り向かせます。」





今夜は失礼しますと言って紗衣を私に渡し帰って言ってしまった。




なんなの――――?





あんな宣言しなくていいじゃない…。





紗衣の頭を撫でるとコテンと首が曲がる。





私は海堂社長の言った言葉を安易に考えていた。