「…アンタが自分で自分のことをいらないと言うなら、アタシにちょうだい。アタシはアンタに生きててほしい。だからアタシのモノになって、生きなさい」

額を合わせ、間近で睨み付けながら言った。

すると彼は一瞬眼を丸くし、すぐに閉じた。

そしてしばらくして開いた目には、先程の冷たさは無かった。

「…良いよ。それ、おもしろそうだ」

そう言ってアタシの手を取り、甲に口付けた。

「オレの全てはあなたの為に―」

忠誠を誓うような姿に、思わず見入ってしまった。

その時から、彼はアタシのモノになった。

…その後、すぐにレスキューの人に助けられた。

バスは道路に飛び出してきた小学生を避けようとして、壁に突っ込んだらしい。

けれど幸いにも運転手もケガを負ったけれど無事で、誰も死ななかった。

めでたし、めでたし。

……と、終わるハズもなく。