全てを諦めたかのような言い方に、頭にカッと血が上った。

彼はずっと、全てのモノが満たされてきた。

家柄もお金も、容姿も頭脳も運動神経も全て、足りなくて欠けたことなんてなかった。

だからこんなに足りない人になってしまったのか…。

周囲の人から羨ましがられても、彼の心は動かせない。

…ならっ!

アタシは彼の頭を掴み寄せ、彼の唇にキスをした。

「んんっ!」

何度も、何度も!

噛み付くように唇を合わせ、薄く開いた口の中に舌を入れた。

逃げようとする彼の舌を絡めとり、無我夢中で彼の口の中を貪った。

舌で味わう彼の唾液が、とても甘かった。

思う存分彼の唇を味わった後、どちらともつかない唾液で濡れた唇をはなした。