時は流れ私が成長するにつれ、楽しかった日々は苦い思い出に変わっていったわ。



フェンレントは次第によそよそしくなってたまに口を開けば小言ばかり。



しかも私を見下すような感じ……慇懃無礼(いんぎんぶれい)って言葉は正にアイツにこそふさわしい。



だから私も言ってやるの。


「昔はよかったわ。
口うるさい無礼な小姑なんていなかったもの。

ああ……それにしても、あの素敵で優しい私の王子様はどこへいってしまったのかしら?」



無礼な小姑に変わり果てたかつての王子様は呟く。


「王子様など最初からいなかったのですよ」