『まるで物語りに出てくる王子様のようだわ!』

なんて目をキラキラさせちゃって……私も純粋だったわ……。




同じ年頃の友達のいなかった私は、毎日のようにフェンレントを呼び付け一緒に王宮の中を巡り遊んだ。



「ねぇフェーン?私の事はリアって呼んで?」


「ええ。リア……」



『フェンレントこそ運命の人』と勝手に思い込み、幼いながら行動力のあった私は王宮の奥の中庭から例の禁断の果実を盗み出し、半ば強制的に彼と分け合って食べた事もあった。



その味は噂と違って吐き出す程まずかったのだけれど……。