いつだって忘れない。いつまでも忘れない。


だけど引きずるのとは違う。


いつか大人になってこんな時もあったなんて、笑って思い出せるように。


生きている限り、陽菜は俺の心の中で生き続けるから。


「おにーちゃん、ないてるの?」


「……」


「ほらわらって?にーっ」


「ありがとうな、陽菜子ちゃん」





―――その時ふわりと風が吹いて、頬に流れた涙を優しく拭った。



切なくなるほど優しいその風は、気ままな鳥のように雲一つない空に吸い込まれていく。


見上げた空はまるで天国のように綺麗で。




―――日向、笑って


風が流れたその後、そんな声が聞こえた気がした。






――――――――――END