「日向、そろそろ行くぞ」


目を閉じロフトで寝転んでいた俺に、屋上から壱夜の呼ぶ声が届く。


「あぁ、分かってる」


そう言って起き上がると、俺と同じようにあらゆるボタンというボタンを剥ぎ取られ、はだけまくっている壱夜と目があった。


「なんやねん、お前やたらセクシーやんけ」


「その言葉、そのままお前に返すよ」


お互いの姿に笑いながら、屋上からの景色を見渡す。


「ったく、これじゃあ第二ボタンもくそもねぇーな」


「ほんま女はわからんわー。ボタンなんかもらって何が嬉しいねん」


「さぁーな」


そう言って首を傾げる銀髪のこいつに笑い、また屋上からの景色を眺めた。


―――俺たちは今日、高校を卒業する。


いくら時が経っても、ここから見る景色は何も変わらない。