「ほんまにもう、触れられへんねんな」
『…うん』
「こんなことなら触れるうちに色々やっとけばよかったなー」
『い、色々って……あほ!』
「えー?顔真っ赤にして何想像してんのかなー陽菜ちゃんは。やーらしっ」
あたしを楽しそうにいじりながらそう言って笑うけど、日向の涙は止まらなくて。
もうこれで本当に最期なんだと思うと、こんなやりとりも愛しく感じる。
『でも…ほんま、もっと色々やっとけばよかったなー』
「…お、お前まで何言ってんねん!」
『誰かさんのやらしー“色々”とはちゃうもん』
「あーそう」
『…うん。日向ともっと色々やりたいことあったなぁーって思って』
見上げればもう、空の半分が紫に近い。
どうやら満足に話す時間すら、あたしたちに残ってはいないらしい。

