『でも…』
一つだけ、納得できないことがある。
『疾風は、何で消えたん?』
―――ほんの一瞬だけ浮かんだ笑顔。
明るくて、優しい彼を思い出す。
もう会うことはできないけれど、いつだって幸せを願ってる。
「―――それは、この世に未練が無くなったからだ」
『うん、それはわかってるけど……』
「つーかそもそも、いくら49日間こっちの世界と通じ合えるからって、普通の人間に見えること自体が稀なんだよ」
『……普通は見えへんってこと?』
「あぁ、それに陽菜や疾風みたいにこの世の物に触れたり、言葉を交わしたり、そんなことが出来るのもこっちの世界にかなり強い想いを残してきた奴だけだ」
『……けど疾風はっ』
「そうだよ、あいつは49日経つ前に消えた。それはこの世でやり残したことをちゃんとやり遂げたからだ」
『……っ…』
「陽菜は神様からチャンスをもらったんだよ。こっちの世界でやり残したことを、大切な物を失わないように。だからここに戻って来たんだろ?」

