聞こえていた全ての音が消えて、壱夜の言葉だけが鮮明に耳に響いた。
ふっと笑って彼の悲しげな瞳を捉え『うん』とだけ呟く。
「故人がこの世とあの世の狭間にいられる期間ってわかるか?」
『うーん?』
「49日だ」
『…49日?』
「あぁ」
『……』
「陽菜が死んでから今日でちょうど49日。つまりここにいられるのも―――あと少しってこと」
淡々と言葉を並べる壱夜だけども、その目は今にも泣きそうに揺らぐ。
『そっか…』
そりゃそうだ。
いつまでもこのままなんてあり得ない。
そんな都合の良い話あるわけがないし……それに最近消えかかっていること、自分でも気づいていた。
そして壱夜は、そんなあたしに気づいていた。
ううん、壱夜だけじゃない。きっと日向もだ。

