『―――なぁイチ、教えてくれる?』 その言葉は、最期の扉を開く。 「あぁ」 何を?とも聞かず返事をくれる壱夜は、きっとあたしの求めている答えを知ってる。 きっと彼もそのことを知りながら苦しんだに違いない。 あたしは色んな人を傷つけた。 取り返し付かないほど深く、深く傷つけた。 『自分の事は一番自分が分かってる』 彼の目を見て迷いなくそう言うと、風がふわっとあたし達を包んだ。 その風が過ぎ去る頃、壱夜の口が静かに開かれる。 ―――「今日でサヨナラだ、陽菜」