どうしてだろう。こんなことでも泣きたくなるなんて。


壱夜の夕日に照らされた銀髪を眺めながら、こみ上げて来る涙をぐっとこらえる。


「俺の前では我慢するんだな」


『え?』


「涙だよ、涙。今泣きそうだったろ?」


見透かしたように壱夜が笑い、少し悔しそうに言った。


『な、何で分かって…』


「分かるよ。だってお前泣きそうな時いっつも眉毛寄せるし、口もへの字に曲げるだろ?」


自分でも自覚の無い“それ”に何も言えずにいると、壱夜は「他にも色々知ってるぞ」なんて、楽しそうに笑う。