―――「おい日向、起きてんだろ」
静かな部屋に響いた壱夜の声。
「やっぱり、来ると思ったわ」
そう小さく呟いて、俺は瞼を開く。
陽菜のいなくなった部屋は静かで、それが少し不安で。
心なしかいつもより少しピリピリした壱夜の顔と声色が、その不安を大きくしていくようで俯いた。
お互い言葉を交わすことはないけれど、なにを言いたいのかくらい大体は察しが付く。
―――こういう時の壱夜は、
「…あいつ、最近不安定だぞ」
たいてい、陽菜の絡んだ話をする。
「ちゃんと見てなくていいのかよ」
そう言われて浮かぶのは、あいつの苦しそうな泣き顔。
「わかってる」
そうゆっくり起き上がると、壱夜の鋭くも悲しい瞳と目があった。

