『あれ…?』


あたしがそのことに気付いたのはいつだったのか。


今では思い出すことも出来ない。


「ん…おはよ、陽菜」


薄暗い部屋の中、カーテンの隙間から洩れた朝日に日向の髪が透ける。


『おは…って、ちょっと―――きゃっ』


白くて長い腕が伸びて来たかと思うと、起こしていたあたしの体は、再びベッドの上に倒された。


『ちょっと日向、くるし…』


首に巻きついた腕から逃れようと体をよじると、彼とあたしの額がこつんとぶつかる。


『―――また寝てるやん』


ふふっと笑って、寝息を立てる日向の鼻をツンと突っついた。