―――壱夜がたまに見せるその悲しげな表情のわけを、この時のあたしは到底知らない。
「ふぁあぁぁ…」
『でっかいあくびやなぁー』
お腹も一杯になったせいか、ごろんと大の字になった日向はとても眠たそうで、
「昨日寝れんかってん」
目をつぶり、少し眉根を寄せながら言う。
その横に一緒のように寝転び青空を見上げると、ふわりと日向の匂いが鼻を掠めた。
昔から変わらない、懐かしい香り。
何の香りなのかは分からないけど、とにかく安心できる。
「おい」
その声に目線を上げれば、何故か真上に日向がいて―――…
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