―――★
「なぁ、陽菜ちゃん」
…目が霞んでよく見えない。
「おい、無視かよ?」
何度目を擦ってみても、目の前にいる人が誰なのか良く分からない。
「えらい余裕やなぁ?…大事なヤツが死にかけてんのに」
「……どういうこと?」
やっとの事で相手にそう返すと、ぼやけている視界の中でニタリと気味の悪い笑みを浮かべたのが分かった。
「どういうことって……寝ぼけてんのか?それかふざけてんの?」
何となく知っているようなシルエット。
茶色の髪に、小柄で貧弱そうな身体のライン。
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