物音一つしない静かな廊下がイヤで。


そのせいで聞こえてしまう、二人の笑い声に耳を塞ぎたくなって。


『日向は…うちから離れていったりしやんかな?』


ぽろぽろ涙を溢しながら発したあたしの声は、とても情けなかった。


こんな不安、幽霊になるまでは感じたことなんて無くて―――…


『日向、もしかしたらあの子のとこに行っちゃうかも』


そんな言いようのない不安に、今までの距離感が分からなくなる。