ぽつり、廊下に落ちる水玉模様。


「ごめん…陽菜ちゃん」


もう、ここにはいられないと思った。


このまま先輩を見ていると、その切ない瞳に呑まれてしまう気がしたから。


日向のあとを追って走り出す。


『何で…』


先輩の涙を初めて見た。


それがあたしの事を想ってなのかと思うと、どうしようもなく涙が出そうになった。


『何で…っ』


日向がどうして、あたしの死んだ時の話をあんなにも嫌がるのか。


どうして先輩があんなにも苦しそうに謝ってたのか。


全然分かりっこない。


…ただ、一つだけ言える事。


―――日向の言っていた“あの話”って単語。


……あたしが死んだ時、きっとその日に日向の許せない何かがあったんだ。