壱夜も、クラスメイトも、騒ぎに集まった野次馬たちも、唖然とそれを傍観していて…
―――唯一、踏み潰された花を見ていたあたしの目から、静かに涙が零れた。
視界を歪ませる雫は頬を滑って、ツンとした痛みと熱が鼻の奥に広がる。
…どうして泣いてるのか、自分でもよく分からなかった。
ただ、踏み潰された花がまるで自分のように思えて、途端に悲しくなった。
「…おい」
…そんな時だった。
「あんた…誰?」
やっぱり救世主かと思わせるのは、この男。
「いきなり人のクラス来て暴れないでくんねぇ?」
彼女の腕を掴み、眉を寄せた壱夜が中腰で言うと、綾子は不意を付かれたように大人しくなった。

