日向は何も答えなかったけど、あたしの手を静かに握り返した。


それだけで、もういいと思った。


何も分からないけれど、日向が言いたくないならそれでいいと思った。


―――でも…それはただ、あたしのちっぽけな強がりだったのかもしれない。


本当は知りたかった。


本当は教えて欲しかった。


だけど、それをあたしのちっぽけな強がりが邪魔をした。


知らず知らずのうちに日向があたしとの間に見えない壁を作って、距離を取っているように感じたから。


知りたいと思うと、日向が逃げてしまう気がして。


それ以上踏み込むのが、あたしは少し怖かったんだ。